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モンレアル(Monreal)⇒ノアイン(Noain)(。¯¯。)パンプローナ(Pamplona)。歩行距離約15㎞。(。¯¯。)はバス。
ポーというフランス側のピレネー山麓にある街から始まった私の巡礼行を、少なくとも巡礼ルートに乗っている限り、私は歩くことによって全うするつもりだった。だがこんなことを油断というのだろう、モンレアルからパンプローナに向かっていて、ひどい足の痛さと疲れから、魔が差したように思わず私はバスに乗ってしまっていた。自分の退治した龍の血を浴びて不死身になっていたはずなのに、一枚の木の葉が彼の背中にひっかかり、その部分にだけ龍の血はかからず、結局、それが彼の命取りになった。ジークフリートに自分をなぞらえるなどよもやおこがましいことではあるが、この瑕疵はきっと、この自分の旅、自分の人生にとって大きな意味を持つものになるのだろう。 ようやくパンプローナに辿り着いた。オロロン以来のバスクの異貌の再現(写真1)を感じさせたが、この街に二日間滞在して、それはないと断ぜざるを得なかった。今夜の宿を探して歩く途中、こんな地方都市になどと期待していなかった中華料理店を見つけた。メニューから待望していたスープ・ヌードルという言葉を見つけた。日本でいう五目中華そばのようなものであったが、とても美味しかった(写真2)。 (写真1) (写真2) いくつかのオスタル(安いホテル)を訪ねたが、満室か高すぎるか(40ユーロ)で他を探すうち、フォンダ(fonda)と掲げられた宿を見つけた。辞書を引くと安宿とある。主人はぎろぎろした眼の肥ったお婆さんで、もうひとりのお婆さんと洗濯をしていた。15ユーロ。 まさにこれまでに観た映画や読んだ小説に現れたフランスやスペインの安宿そのものであったが、いざ自分がその登場人物になると、宿代だけを払ってすぐにでも逃げ出したくなるような部屋だった。安宿ならこうでなくてはならないとわざとそうしたかのようなみすぼらしい部屋、煙草をメインにいろんなものが入り交じった猛烈な臭い。 滞っていた日記を書くために、多くの人たちと同じ部屋で寝なければならないアルベルゲを避け、見つけようとした宿だった。だが寝るためにだけこの部屋に戻った。ヘンリー、ジェーン、ピーターの一家はこんな宿にその姓の由来を持っていたことを知っていたのだろうか。 サン・ニコラス大聖堂。(写真3、4、5、6、7) 12世紀に建てられたというから、ハカの大聖堂と同じようにちょうどロマネスクからゴシックへの移行期のものなのだろう。スペインの教会の祭壇といえば金箔で覆い尽くされたおそろしく装飾的なものを思い浮かべてしまいがちだが、ここがまだフランスに近いという地理的条件にもよるのか、ステンド・グラスの使い方といい、どちらかといえばフランス的な印象を与えるものであった。サングエサの教会について書いたときにも述べたのだが、どうもスペインの教会、特にカテドラルと呼ばれるような大規模なものになればなるほど、フランスのカテドラルが持つような全体の統一的イメージというものが希薄になり、どちらかといえば散文的な印象を与えるものが目立つ。立地条件にもよるのかもしれないが、もっと別の深い理由があるように思えてならない。もしこの国がフランスのような統一的イメージを最初から是が非でも教会に求めていたとすれば、それが実現できる立地をまず用意していたはずだと思われるのだ。 (写真3) (写真4) (写真5) ハカの大聖堂と同じく、この教会の床も、ずっしりと重量感を感じさせるような 木製のものだった。これはフランスでは経験しなかったものである。とても好 ましい雰囲気を醸し出している。石畳の街路からそのまま同じ石張りの床で あるよりは、特別な場所に入ってきたのだという印象をはるかに強く与える。 (写真6) (写真7) 余計なことだが、なぜかピラネージを想わせるショットになっていた。いずれにし ても人工照明が少しあざと過ぎる。最小限に抑えて欲しいものだ。
by santiargon
| 2007-10-28 00:47
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